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通勤手当にかかる税と社会保険料


 
通勤手当と所得税
給与所得者に支給する通勤手当については、非課税限度額が設定されていて、その金額までの支給であれば、支給された通勤手当には所得税がかからない仕組みになっています。

非課税限度額について
●交通機関又は有料道路を利用している人の場合:1か月最高150,000円
 
●自動車・自転車などを使用している人に支給する場合:片道55キロ以上1か月最高31,600円~片道2キロ以上10キロ未満1か月最高4,200円
 
●交通機関の通勤用定期券を支給の場合:1か月最高150,000円等となっています。
なお、通勤距離が片道2キロ未満で自動車や自転車などを使用している人に支給する通勤手当は全額課税となります。
規定されている額よりも多く通勤手当を支給した場合、超過分は給与として課税されます。


通勤手当と社会保険料
通勤手当は限度額までは所得税は非課税なのに対して、社会保険料の算定に利用する標準報酬月額には含めて計算することになっています。所得税と社会保険の扱いの差は、所得税は「職場に行くための手当は結果的に手元に残らないから非課税」という考え方で、社会保険料は「労働の対価として定期的に受けた労働者の生計に充てられる手当なので計算に入れる」という考え方の違いのようです。

通勤手当とインボイス
適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の対象となります。ただ、社員に支給する通勤手当については、社員が適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができません。

そのため通勤者につき通常必要と認められる部分については、特例で記帳のみの保存で仕入税額控除が認められていますまた、この「通常必要と認められる部分」については、所得税の非課税限度額を超えているかどうかは問わないため、所得税の非課税限度額との条件を混同しないように注意しましょう。

 

億万馬券の手取りは?

 JRAが発売した『WIN5』で、4億2318万30円の超高額配当が飛び出しました。WIN5とは指定された5レースすべての1着を当てる馬券のこと。この日の対象レースでは5レースともに1番人気が敗れるなど結果が荒れ、配当額が表示されると競馬場は騒然となりました。的中馬券は1票だったそうです。
 
 
 的中させた人は1日で億万長者の仲間入り。もし自分なら4億円を何に使おうかと夢見てしまいそうですが、残念ながらこれは全額が〝手取り〟になるわけではありません。
 
 
法律で当選金が非課税になることが定められている宝くじなどと異なり、競馬の払戻金は所得税の対象。専用の予想プログラムなどを用いて網羅的に馬券を購入しているケースなどを除き、偶発的な収入である「一時所得」に含まれます。
 
 
一時所得では、給料など他の所得と合算した上で、50万円の控除額を差し引いた残額の2分の1に、金額に応じた税率がかかります。仮に今回の万馬券を当てた人に他の収入がない場合、単純計算で約2.1億円に税金がかり、最高区分の45%の税率が適用されます。9千万円程度が税金に取られ、手取りは3億円余りということになります。
 
 
 競馬の当選金を確定申告しない人も多いそうですが、今回のようにニュースに取り上げられたケースでは当局もみすみす見逃しはしません。素直に税金を納めて、残額の使い道を考えることになりそうです。
 
<情報提供:エヌピー通信社>
 

 

カジノの勝ち分は一時所得

 
カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の開設に向け、大阪府・市が提出した計画が国に認定されました。カジノ構想は、新型コロナの流行により実質上ストップしていましたが、感染状況がある程度落ち着いたことで再始動したかたちです。


ギャンブルで勝って得たお金は、原則として税法上の「一時所得」として所得税が課されます。一時所得は10種類ある所得のうちでも、労務や役務の対価として生じない、つまり運などによる偶発的な収入を指すもの。現在進んでいるカジノ構想でも〝勝ち分〟は一時所得として扱われる方針です。


ただし競馬などであれば原則として勝ち分の馬券代しか経費として差し引けないのに対し、カジノでは入場時と退場時のチップ枚数をトータルで差し引いて、その差のみを所得として扱うことになる見通しです。特別な扱いをする理由としては、勝敗の全てを把握するのが困難ということがあるようです。
 
 
競馬や競輪といったギャンブルの勝ち分が所得として課税されるといっても、実際には勝ち分を正直に確定申告する人はほとんどいないため、よほど高額な当選金でないかぎり当局が捕捉し切れていない現状があります。それだけに今回導入するカジノでは、マイナンバーなどを徹底的に活用して所得を漏れなく捕捉する構えです。
 
 

 

所得税の確定申告 損益通算のルール

 
◆損益通算とは
所得税計算における損益通算とは、各所得金額の計算で生じた損失のうち一定のものについてのみ、決められている順序により総所得、退職所得または山林所得の金額から控除することを言います。例えば、サラリーマンの方が確定申告によって投資用マンションで生じた不動産所得の損失分を、給与所得との損益通算によって還付金を受けられることなどを指します。


◆損益通算できる所得と順序
 所得税の計算では、所得を給与所得、事業所得など10種類に区別しています。まずは同じ種類の所得の中で通算をします。これが大前提です。例えば、同じ雑所得の中であれば公的年金等のプラスの所得と、業務に係る雑所得のマイナス所得とを通算します。所得がマイナスとなった場合、他に区別される所得と損益通算ができるのは不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得(分離は特定の居住用財産のみ)の4種類だけです。雑所得などで生じた損失額は他の所得と損益通算はできません。つまり、同じ種類の所得グループにおいて最初に損益通算を行い、それでもマイナスが残る場合には、他の所得と損益通算をしていく順序となります。


◆細かな例外規定に注意
 損益通算の計算は細かな規定があります。例えば、生活用動産の譲渡は基本的には非課税ですが価額が30万円を超える貴金属等の場合には、総合課税の譲渡所得として申告かる必要があります。そしてこの場合には損益通算ができません。他にもゴルフ会員権や競走馬等の生活に直接必要でないとされる資産については、損益通算ができません。総合課税の譲渡所得には損益通算での例外規定が多く注意が必要です。また、不動産所得についても土地を取得するために要した負債の利子に相当する部分は損益通算ができない等、何点かの例外規定があります。

 

(後編)マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは

 (前編からのつづき)
 
③譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること
④マイホームの譲渡価額が上記③の住宅ローンの残高を下回っていることなどがあります。
 なお、合計所得金額が3,000万円を超える年がある場合は、その年のみ繰越控除が適用できません。
 
 また、下記に該当する場合は、損益通算及び繰越控除の両方が適用できませんので、ご注意ください。
①親子や夫婦など特別の関係がある人に対してマイホームを売却した場合
②マイホームを売却した年の前年及び前々年に、居住用財産の譲渡所得の3000万円の特別控除や居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率などの特例を適用している場合
③マイホームを売却した年の前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算の特例を適用している場合
④マイホームを売却した年又はその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける場合
 
 
(注意)
 上記の記載内容は、令和5年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは

 (前編)マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは
 
 
 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、2023年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得との損益通算ができ、さらに損益通算をしても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年間繰越控除できる特例をいいます。これらの特例は、新たなマイホーム(買換資産)を取得しない場合であっても適用できます。
 
 譲渡損失の損益通算限度額は、マイホームの売買契約日の前日における住宅ローンの残高から売却価額を差し引いた残りの金額が、損益通算の限度額となります。これらの特例の適用を受けるための要件としては、
①自分が住んでいるマイホーム(譲渡資産)を譲渡すること
②譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホーム(譲渡資産)で日本国内にあるものの譲渡であること
 
(後編へつづく)
 
(注意)
 上記の記載内容は、令和5年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。


 

前編:住宅ローン控除手続きを簡素化へ!

 2022年度税制改正において、住宅ローン控除の手続きについて、2023年1月1日以後に居住する個人が住宅ローン控除の適用を受ける場合には、金融機関等に対して「住宅ローン控除申請書」を提出し、金融機関等が直接、税務署に残高等の証明をしますので、借入金の年末残高証明書や最初の申告時に必要な新築工事請負契約書の写し等の添付が不要とされました。

 したがいまして、原則、2024年以後の確定申告や年末調整では、年末残高証明書の添付が不要になりますので、該当されます方はご確認ください。

 

 ただし、金融機関のシステム対応が間に合わないなど、2022年度改正への対応が困難な場合は、現行と同様に年末残高証明書を交付できる経過措置が設けられております。

 また、住宅ローン控除適用申請者の手続きは、金融機関等が経過措置を適用するか否かによって異なります。

 経過措置を適用する金融機関等であれば、現行どおり、適用申請者に年末残高証明書を交付し、その交付を受けた適用申請者は、住宅ローン控除を受ける最初の年には確定申告が必要で、入居年の翌年1月(還付のみの場合)から確定申告書に添付して税務署に提出します。

 

(後編へつづく)

 

◆一括償却資産とは

パソコンなどの器具及び備品その他減価償却資産を取得した際、取得価額が30万円未満の少額である場合には法定耐用年数より短い期間で必要経費(所得税)にできます。

(1)10万円未満の場合は消耗品等として取得時に全額経費となります。

(2)10万円以上20万円未満の場合は、一括償却資産として3年間の定額償却にできます。※下記(3)の選択も可能です。

(3)10万円以上30万円未満の場合は、300万円を限度として全額経費にできます。。

 取得価額10万円以上20万円未満の資産で耐用年数よりも短い期間で経費にできるのが「一括償却資産」です。この制度は中小企業等以外の法人も使えます。金額の上限もありません。

 

◆一括償却資産のメリットとデメリット

一括償却資産のメリットは3年での定額償却なので、個々の資産の本来の法定耐用年数の確認をする必要がなくなります。くわえて、本来の耐用年数よりも早く経費にすることができます。また、地方税である償却資産税の申告対象から外されているので償却資産税は掛かりません。デメリットとしては3年の償却期間中に資産を除却や売却した場合でも、未償却額残高を経費算入することができません。

 

◆途中で売却や除却をしても償却期間は3年

資産を売却や除却した場合、通常の会計処理ではその資産の帳簿価額を売却簿価もしくは除却損として計上します。しかし、一括償却資産の処理をしたものについてはこの処理はしません。仮に実際には資産がなくなった状態であっても帳簿上では未償却残額が残ります。あくまでも36か月(3年)かけて経費処理することになります。

 

不動産所得における事業的規模とは

◆事業性が認められる場合の特典

 不動産所得が事業として認められた場合には、以下の特典が受けられます。
①建物取壊、除却損の全額を経費に算入
②貸倒損失を回収不能の年に経費に算入
③青色専従者給与が適用可
④複式簿記の記帳で55万円控除(電子帳簿保存又はe-Taxにより65万円控除)

 

◆社会通念としての事業規模

 貸付けが事業として行われているかについて、国税庁は「社会通念上、事業と称するに至る程度の規模」と定義しており、5棟10室基準はその例示として示されていますが、判例では「5棟10室基準を満たせば事業として行われているものとするという十分条件を定めたにすぎず、当該基準を満たしていなかったとしても、これをもって直ちに社会通念上事業に当たらないということはできないと解する」と示されています。

事業性は賃貸の営利性、継続性や危険負担、精神的・肉体的労力の程度などで個別に判定されます。賃借人が同族会社で安定した賃貸先のため、リスクはないとして事業性が認められなかった判例もあります。

 

◆賃貸人のリスクは必ずしも小さくない

 不動産賃貸は、事業所得を生む事業と比べ、精神的・肉体的負担は少なく、賃借人が入居してしまえば、設備の不具合でも起きない限り、手間はかからないといえます。

一方、退去時の原状回復、建替時の立退交渉などは負担を伴い、また最近はリモートワークで間取りが少なく狭い物件は、敬遠されがちとなり、リフォームも必要となります。その他、地震による建物の倒壊リスクや、火事の延焼や類焼リスクなど賃貸する側には相応の負担が生じます。

 

◆事業性を認めてもらうためには

 5棟10室まで至らなくても、賃料収入や不動産所得で相応の規模が確保されているのであれば事業性は一定程度、備えているとも言えます。継続的に賃貸を行い、修繕やクレーム対応などきめ細かな賃貸管理は事業性を高めることにもつながります。事業的規模に該当するか気になる時は、税務署に貸室の数や収入金額、事業状況を説明して確認を受けるのもよいかもしれません。

3000万円特別控除と措置法重複適用

3000万円特別控除と措置法重複適用

◆土地バブルとマンションバブル

 昭和の土地バブルの時代には、頻繁に住宅を買い替えることにより、よりリッチな物件に住み替える、という事例が沢山ありました。所有によりアパート賃料分が留保されるだけでなく、所有により含み益が蓄積される、という効果が人の心を動かしました。現在は、マンションバブルの傾向を示ています。首都圏では2000年以降、近畿圏では2010年以降に建築した中古マンションの譲渡価格が新築時の価格を上回る傾向にある、との民間公表データもあります。譲渡益も、建物の減価償却があるから譲渡益が出るのではなく、その償却額を超える譲渡益が出る、という事です。



◆会計検査院の指摘
 令和2年の税制改正で、住宅ローン控除の規定の「翌年又は翌々年中」という文言が「翌年以後3年以内」という文言に改正されました。これは、会計検査院が措置法特典の不適正な重複適用として実態報告をしたことに端を発しています。会計検査院の検査報告によると、新居を購入して住宅ローン控除を受けている人で、旧居に居住しなくなってから3年目に旧居を売却して居住用資産譲渡の3000万円特別控除の特例の適用を受けていた人が平成28年、29年の2年間で37人いたとしています。そして、この37人の重複減税額の合計が5011万円であった、としています。税率で割った一人当たり平均譲渡益は900万円前後です。会計検査院の検査した事例も、最近の不動産バブルを反映しています。



◆特例の連続適用・重複適用
 今はマンション住み替えの都度、譲渡益が発生する時代になっています。そして、期間が3年超ならば、3000万円控除の連続適用が可能です。さらに、住宅ローン控除の適用を受けていたとしても、その居住物件の譲渡による譲渡益に対する3000万円控除の適用も可能です。
 会計検査院の指摘と紛らわしいところですが、同一物件に係る譲渡益に対する3000万円控除の適用と住宅ローン控除の適用には、特例併用の制限はされていません。会計検査院の指摘したのは、異なる物件での住宅ローン控除と3000万円控除の重複適用の場合の事なので、同一物件での重複適用に対する注文ではなかったのです。

空き家の取壊し時期と相続空き家の特例

空き家の取壊し時期と空き家の特例

被相続人の居住用家屋と敷地を相続したものの、今後住む予定がなく売却する場合、譲渡益の3000万円控除(相続空き家の特例)を受けるには、相続人の側で空き家を取り壊し、更地で売却することが現実的です。

 

◆空き家取壊しのメリット、デメリット

空き家を放置するとゴミが不法投棄され、台風で屋根が飛ばされるなど近隣に被害を及ぼして苦情を受けるリスクが生じますが、取り壊すことで回避できます。

一方で空き家の取壊しには、工事費用がかかるほか、アスベストの飛散防止をはかることの行政への届け出、近隣への事前説明など環境に配慮した手続きの義務が生じます。また、すぐに売却先が見つからずに更地のまま1月1日を迎えた場合、固定資産税・都市計画税に小規模住宅用地の減免措置(200㎡まで固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に減免)は適用されません。

 

◆特例の適用要件

 相続空き家の特例を受けるには、①相続開始直前に被相続人が一人で居住していたこと②区分所有建物でないこと③昭和56年5月31日以前の建築であること④譲渡金額は1億円以下⑤相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること⑥耐震基準に適合するよう空き家をリフォームしてから売却、または取り壊して更地で売却するなど要件があります。

 

◆取壊しは売却前に相続人で行う
 以上の要件から空き家の取壊しは売却前に実施しないと特例が適用されません。
売主としては取壊しが面倒なので買主に依頼し、その分、売却価格で調整して済ませたいと考えたくもなりますが、この場合は譲渡後の取壊しとなるので、3000万円控除を受けることはできません。

なお、譲渡所得の申告に際し、譲渡日を引渡日とする方法と契約締結日とする方法を選択できますが、譲渡日を契約締結日とする場合は、空き家の取壊しは契約前に済ませるよう注意が必要です。

 

◆空き家を相続したときは

 3000万円控除を受けるには、特例の適用要件を満たしていることを確認し、解体業者から工事費の見積りを先に取得します。不動産仲介会社で売却先が見つかったときは、売主の側で空き家を取壊すことを条件に解体工事を発注し、売買契約では更地での譲渡、工事完了後の譲渡日の設定がポイントになりそうです。

30年分年末調整においての変更点と注意点

★前年までと平成30年分年末調整との変更点

大きく3点あります。

  • 配偶者控除と配偶者特別控除の見直し
  • 扶養親族等の数の算定方法が変更
  • 用紙の変更。「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」が2枚に分けられました


★配偶者控除と配偶者特別控除の見直しと年末調整

平成29年度税制改正で配偶者控除と配偶者特別控除の見直しが行われ、控除額等が改正されています。大雑把な書き方をすれば、これまで配偶者の所得だけに注意しての計算から、平成30年分からは配偶者の所得に加えて控除を受ける納税者本人の所得との兼ね合いで、控除額が変わるという事です。この改正により平成30年分以後の年末調整は、大変複雑で難しい計算作業が必要となりました。


(1)配偶者控除と配偶者特別控除の見直し

 1 配偶者控除の控除額が改正されました。給与所得者の

合計所得金額が1,000万円(年収1,220万円)を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることが出来なくなりました。


2 配偶者特別控除の控除額が改正されました。対象となる配偶者の合計所得金額が38万円(年収103万円)超123万円(年収201万6千円)以下に変更され、納税者本人と配偶者の所得金額によって段階的に引き下げられています。


詳細は下記に示す図をご参照ください。


画像引用・国税庁・平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱についてより


(2)扶養親族等の数の算定方法が変更

 扶養親族等の数の算定に際し、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、毎月の給料計算の際には扶養親族等の数に1人を加えて計算します。 

源泉控除対象配偶者とは・・・
納税者本人および配偶者も給与収入だけの場合。

  • 納税者本人の合計所得900万円(年収1,120万円)以下
  • 配偶者の合計所得85万円(年収150万円)以下

この条件に該当する配偶者の事です。

また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算します。

同一生計配偶者とは・・・
納税者本人および配偶者も給与収入だけの場合。
 

  • 納税者本人の所得制限なし
  • 配偶者の合計所得38万円(年収103万円)以下

この条件に該当する配偶者の事です。

控除対象配偶者とは・・・
納税者本人および配偶者も給与収入だけの場合。
 

  • 納税者本人の合計所得1,000万円(年収1,220万円)以下
  • 配偶者が同一生計配偶者

この条件に該当する配偶者の事です。


この3種類の配偶者を色分けすると下記の表のとおりとなります。

黄色枠 源泉控除対象配偶者が該当します。

橙色枠 控除対象配偶者が該当します。

緑色枠 同一生計配偶者が該当します。
 

画像引用・国税庁・平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱についてより

 

(3)用紙の変更

給与所得者の扶養控除等申告書等の様式が変わりました
昨年までの「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」が、平成30年分から「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2つの用紙に分けられました。

なお、平成30年分の年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるためには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」への「源泉控除対象配偶者」欄への記載のある無に関係なく、「給与所得者の配偶者控除等申告書」を会社に提出する必要があります。

29年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

30年分 給与所得者の配偶者特別控除申告書

30年分 給与所得者の保険料控除申告書

平成30年分税制改正のポイント

◆ 平成30年分 税制改正のポイント(昨年からの変更点)
 

  • 配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正
  • 扶養親族等の数の算定方法の変更
  • 給与所得控除の改正(平成32年以降)
  • 基礎控除の改正(平成32年以降)
  • 所得金額調整控除の創設(平成32年以降)
  • 各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正(平成32年以降)  



*下記に表示の申告書3点は国税庁より引用


平成30年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

平成30年分給与所得者の配偶者控除等申告書

平成30年分給与所得者の保険料控除申告書

配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正

① 配偶者控除の控除額が改正されたほか、給与所得者の合計所得額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととされました。② 配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされました。


 

扶養親族等の数の算定方法の変更

扶養親族等の数の算定に当たり、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされました。 また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされました。 
 

 

基礎控除の改正(平成32年以降)

①基礎控除額が10万円引き上げられました。②合計所得金額が2,400万円を超える所得者についてはその合計所得金額に応じて控除額が逓減し、合計所得金額が2,500万円を超える所得者については基礎控除の適用はできないこととされました。


 

所得金額調整控除の創設(平成32年以降)

その年の給与等の収入金額が850万円を超える所得者で、特別障害者に該当する又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有するものの総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除することとされました。 


 

各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の改正
(平成32年以降)

①同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件が48万円以下(改正前:38万円以下)に引き上げられました。②源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件が95万円以下(改正前:85万円以下)に引き上げられました。③配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件が48万円超133万円以下(改正前:38万円超123万円以下)とされ、その控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分が、それぞれ10万円引き上げられました。④勤労学生の合計所得金額要件が75万円以下(改正前:65万円以下)に引き上げられました。⑤家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が55万円(改正前:65万円)に引き下げられました。 



在宅勤務手当と給与課税のポイント

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在宅勤務手当と給与課税のポイント

新型コロナウイルスの感染予防のために、国からはくり返し在宅勤務やテレワークの推奨実行がさけばれています。それを受け大企業や公的機関では、在宅勤務やテレワーク導入も進んできました。


ただ、私たち税理士事務所のお客様の大半が中小会社様です。そんなこともあり、わたしども事務所の顧問先様からは「在宅勤務手当」や「在宅勤務にかかる費用」などのご質問は4月までゼロ件でした。

それが5月にはいり1件ですがご質問を聞かれました。今後、同様のご質問が出ることに備えて勉強しました。国税庁からは令和3年1月、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公表されています。

画像引用 在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」より引用

一度よむだけでは理解が難しい書きぶりですので、重要となるポイント3項に絞って分かりやすく要約してみます。

在宅勤務手当

Q1 会社が在宅勤務手当を支給した場合、従業員にたいする給与課税が必要ですか?

A1 在宅勤務のために通常必要な費用について、実費相当額を精算する方法で支給する場合には、従業員への給与課税は必要はありません。
ただし、在宅勤務手当が使用の有無に関係なく一定額を精算することなく支給する場合には、従業員への給与として課税が必要となります。

在宅勤務に必要な事務用品等の支給

Q2 会社が在宅勤務の従業員にたいしてパソコンなどの事務用品を支給した場合、現物給与として課税の必要はありますか?

A2 会社から貸し出すだけであれば、従業員に対する給与課税は必要ありません。
貸し出しではなく、会社に返却する義務がない場合には、従業員への給与として課税が必要となります。

レンタルオフィス

Q3 自宅に空き室がないなどの理由から、レンタルオフィスを利用して在宅勤務をおこなう場合、従業員が立替払いした利用料の領収証提出を受け、会社が精算をした場合、従業員に対する給与として課税する必要はありますか?


A3 1 従業員が在宅勤務に通常必要な費用としてレンタルオフィス代等を立替払いし、かつ、2 業務利用したものとして領収書等を会社に提出され、精算されているものについては従業員に対する給与として課税する必要はありません(会社が先に従業員に仮払いして、従業員がレンタルオフィス代等に係る領収証等を会社に提出して精算した場合も同じ)

まとめ

  • 在宅勤務手当が在宅勤務に通常必要な費用の実費相当額を精算する「実費精算」の場合は非課税
  • 支給額が一定の場合は課税対象
  • 自宅以外の場、例えばレンタルオフィス使用料でも実費精算の場合は非課税
  • 在宅勤務で必要な事務用品の支給については貸与の場合は非課税
  • 現物支給の場合は課税対象
  • 通信費や電気料金についても、実費精算の場合には非課税 

考察・副業と税金との関係

NEW

★副業が事業所得となる日は来るのでしょうか?

 いまだ終息の気配がみられないコロナ禍。昨年から続くコロナ禍社会の影響を受けて、多くの職種で正規非正規を問わず会社からの給料が減少しています。それを受けて会社員の副業が身近なものとなってきました。

国も成長戦略の中で新しい働き方として、兼業・副業を推進する姿勢をしめしています。しかしながら、副業に対する税金(所得税)の扱いは旧来と変わっていません。

◆給与所得と事業所得の違い 

副業に対する所得税の扱いで最初に問題になるのは、給与所得になるのか?事業所得になるのか?という点です。

 

判例を抜粋してみました。最高裁昭和56年判決で「給与所得とは、会社との雇用契約のもと使用者の指揮命令を受ける従属関係において提供される労務の対価」とされ、「事業所得は、自己の計算と危険のもと、独立して営まれ、営利性、有償性、反復継続して遂行する意思と社会的地位が客観的に認められる業務から生ずる所得である」とされています。

 

◆副業は雑所得 

副業が雇用関係になく従属関係もない場合には、給与所得ではありません。課税庁の見解では、副業は雑所得であるされています。事業所得とは違い、副業によって生じた損失額については、他の所得との損益通算は認められません。

 

◆副業が事業所得となる日は来るのでしょうか? 

現在の青色申告制度では、雑所得には他の所得との損益通算や青色申告特別控除などの特典はありません。青色申告制度は自主的な納税申告のため、適正な帳簿作成を後押しするための制度です。コロナ、働き方改革の影響で拡大傾向の始まった会社員の副業。それでも、まだまだ会社員の副業が所得税における事業所得と同様に位置付けられるまでには、長い議論と時間が必要であると思われます。

 


2018年11月撮影.JPG
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